(前)不安

最初に。
長くなりすぎたので前編と後編に分けて書くことにしました(´・ω・`)
のに、長いです!
ブラスター×デスペラード+aがいます。
前編は普通にBLです(ぇ
ただaの発言がちょっと行き過ぎてもいます。
軽くエロに触れてますが(発言的な意味で)
それでもよろしい方だけお付き合いを♪
↓ではどうぞ(ノД<*`)


「好きです」思いを伝えたのは私からだった。
同居を始めて一年殴られる覚悟で伝えた思いには意外な返事が待っていた。
グンジは私の思いを受け入れてくれた、プライドが高い彼が男の私を受け入れるなんて想像もしていなかった。
ダンジョンで待ち合わせをするのがめんどくさいと言い出したグンジの提案で一緒に生活を始めて数ヶ月、リボルバーを握り重火器を振る私の目の前で傷を増やすグンジを守りたいと強く思うようになった、その感情が恋愛感情に変わるにはそう時間はかからなかった。
この感情に気付いた私はグンジにこの思いを悟られず、伝えることも無く戦友としてずっと側に居れればいいと願っていた。
けれども、同居をする私とグンジとの共有の時間は多く側に居る時間が多いほどグンジに対する思いは強くなっていった。
強くなる思い、毎日側に居ながら何も変わらない関係。
そんな生活が苦痛に感じる様になっていた。
そしてあの日私は全てをばらしこの関係が壊れてしまえばいっそう楽になる気がしていつものようにソファーでくつろいでいたグンジに全てを話した。
驚いた表情で私を見たのは最初の一言を聞いた時だけだった。
思いを伝えている間ずっとグンジは真剣な表情で私の話に耳を傾けてくれた。
全てを伝え終えるとてっきり軽蔑するだろうと思っていたグンジはあっさりと私を受け入れた、予想外の事に思わず唖然としていた私を「もっと別の反応があるだろう」と不満を訴えたグンジの表情は今でもはっきり覚えている。
あれからさらに一年がたとうとしている今私とグンジの生活に殆ど変化はない。
半年ほどは本当に以前までとなんら変わりのない生活だった。
変わらない毎日に不安すら覚えてしまうほどに、何も変わらなかったのだ。
不安になった私は、もう一度グンジに思いを伝え触れるだけのキスをした。
それからはどちらかとも無く、時折キスをするようにはなった。
一度だけ私から深く口付けた事もあった、主導権はグンジに移ったがそれ以上に進むこともなかった。
それからのキスはそれまで通りの触れるだけの優しい物にもどってしまった。
私だって男だ、一緒に生活をしていればそれ以上先に進みたいと思ってしまう。
男同士であり、未だに進展のない関係に再び不安を覚えている。
私はそんな事をグンジとの共通の友人であり私たちの関係を知るクロウに話していた。
私の話にてきとうな相づちをうちながらクロウは機械のメンテナンスに励んでいた、そばでは奇妙なデザインのメカがふよふよと浮かんでいた。
あまり性能自体はよくないが、最初の作品だけに愛着がわいて手放せないでいるらしいそれは、時々作業を手伝うように部品を取りに私の目の前を何度か横切ってはクロウの側に再び帰っていった。
「意外だよね」
作業が落ち着いたのか不意にクロウが口を開いた。
「グンジってさ、相手の都合とかお構い無しにやりたくなったら押し倒すタイプだと思ってたよ?」
随分な言われように私は苦笑いをもらす。
「グンジはそこまで自分勝手な人では無いですよ」
私の返答に「そうなの?」と、首をかしげながら返してきたクロウはすっかりと冷めてしまったコーヒーへと手を伸ばす。
「でもさ?一年も手を出さずにいるって言うのは僕には信じがたい事実だよ?」
私は言われた言葉に少し肩を落とし口を開く、嫌な考えに気持ちが落ち込んでしまう。
「それは私も思っています・・・。もしかして私に遠慮して合わせただけで本当は・・・」
ずっとくすぶっている不安をつい口にしてしまった。
「それはないよ」
短くそれでもきっぱりと返された言葉に私はクロウを見る。
「僕が知るグンジは絶対に人に遠慮して、自分の気持ちを口にしないなんて事が出来る人じゃないよ」
言われた言葉に私は納得してしまう。
確かにグンジは自分の感情を押し殺してまで人に合わせるようなことが出来る人ではない。
ずっと一緒に生活している私が一番知っている。
それでも不安を覚えてしまうのは、予想に反して中々次に行動を移さない恋人のせい。
今のグンジの気持ちを理解出来ずに私は小さくため息をつく。
「ていうかさぁ?」
いつのまにかコーヒーを飲み終えたクロウの目が私を真っ直ぐに見ていた。
「ビジュはさ、グンジに抱かれたいの?抱きたいとは思わないの?女役でいいの?」
クロウの言葉に私は再び苦笑いを作る。
半分は諦めにも似た思いだった。
「私だって男ですよ?好きな人がいれば抱きたいと思いますし、やっぱり抱かれるよりも抱く方がいいに決まってます・・・でも、グンジは絶対女役なんてしないでしょうし・・・好きな人に嫌な思いはさせたくないんですよ」
「ふーん」何て返しながらクロウは手元の引き出しから何かを取り出した。
「でもさ、そういうのってやったもん勝ちでしょ最初が肝心だよ、相手が手を出してこないならチャンスだと思うんだよねー」
液体の入ったビンを眺めながらクロウは楽しそうに笑っていた。
「それは・・・そうかもしれませんが・・・」
言いながら、考えたことに頭をふる。
「やっぱりだめです、グンジに嫌な思いはさせたくありません」
私の返事にクロウはまるで喜劇を見ているかの様に大げさに肩を落として見せた。
「ビジュ?君は好きな人を自分の手で気持ちよくさせてあげたいと思わないの?他の人には見せないような表情を見たいと思わない?自分が与える快楽に普段からはとても想像も出来ないような乱れ方をする恋人を見てみたいとは思わないの?君は本当に男なの?」
あまりにも露骨な言い方に言われた私のほうがつい恥ずかしくなってしまった。
「クロウ・・もうちょっと包んだ言い方は出来ないんですか」
思わず視線が宙を泳いでしまう。
「どんな言い方をしたところで行為自体は変わらないよ」
「気持ちの問題です」
クロウはそんな私に肩をすくめて見せ青い瞳が面白そうに細められるのがわかった。
「それで、ビジュ。君はどうなんだぃ?見たいとは思わないの?」
私は再び定まらない視線を部屋へと向けた。
私だって健康な男だ、望まないわけが無い、そういう夢も何度も見た。
好きな人を抱きたいと思うのは男として自然な考えで、変わらない関係にあせり何度も行動に移そうかと思った。
それをギリギリの理性でつなぎとめ気付けば一年がたとうとしているのだ。
「出来れば・・・・私だってグンジを・・・」
はっきりと言い返せないのはグンジを好きだといいつつ、彼が嫌がるであろう立場を本当は強く願っている後ろめたさから。
そんな私のはっきりとしない返事にもクロウは笑顔を向けた。
ゆっくりと立ち上がり私の前まで足を運び、先ほどのビンを手のひらでコロコロと転がす。
「答えは出たんじゃない?そんなところで遠慮していたら本当に何もないまま何年もかかってしまうと思うよ?」
言われた言葉に私は不安の表情を作る。
グンジは本当に先に進むことを望んでいるのだろうか?
望んでいるのなら何故・・・。
「女役なんて嫌でしょ?先にやったもん勝ちなんだよ本当に」
私はそれでも思い切れずにクロウの視線から逃れるように目線を部屋の隅へと移す。
「キスだってビジュからだったんでしょ?」
言われたことに私は小さくうなずく。
「きっかけが無いだけでお互いギクシャクしてるんじゃない?お酒でも用意して勢いで押し倒しちゃえば?なんならこの薬使ってもいいよ?」
楽しそうに差し出された怪しげな薬、話に乗り気なのはきっとこの薬を試したくてうずうずしていたんだろうと私はクロウを見る。
「別に危ない薬じゃないよ?そうだねー・・・わかりやすく言えばエッチな気持ちになっちゃいます☆って薬かな」
言いながらクロウは半場無理やり私のポケットにそれをしのばせた。
「これを飲んで押し倒されたら嫌だ何て言えないから安心して、遠慮なんかしたら立場は逆転すると思うよ?」
あきれて言葉を口に出来ずにいるわたしをよそにクロウは薬の説明を始めていた。
「あぁ、そうだ飲ませるのは1〜2滴程度でいいよ?あまり飲ませると過剰摂取になるから気おつけて?」
私はポケットに手を伸ばしビンを取り出す。
「クロウ私はそんな卑怯な真似はしたくありません」
それでもクロウは私からビンを受け取ろうとはしなかった。
「ビジュ、君がここに来たのは後押しがほしかったから何じゃないの?君だって解ってるはずだよこのままじゃ何の進展も得られないって」
私は言われた言葉に胸がしめつけられるのを感じた。
自覚は無かった、言われて初めてそんな自分のずるい考えに気付いてしまった。
「変化がほしいなら待つだけじゃだめなんだよ、だからねビジュ?それはお守り、使うも使わないも君しだいだよ」
私は手のひらのビンに視線を移す、使うつもりは無い。
ただ、その薬の存在が私の背中を押してくれているような気がした。
不意に視界にクロウの手が割り込んできた。
クロウは私の広げられたままの手のひらで転がっていた薬を私にしっかりと握らせるとそのまま再び私のポケットへと戻した。
視線があった瞬間クロウは悪戯な笑みを作る。
「僕としてはぜひ使ってほしいんだけどね?感想楽しみにしてるよ?」

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クロウの自宅(研究室)から帰る道中私は一軒の店で大量の酒を購入した、そんなに量を買うつもりは無かったのだけども、未だに思い切れず悩みながら店を出る頃には2人で飲むには少し多すぎる量を購入していた。
玄関の前で私はため息を吐く。
ここまでして今更後に引くわけにもいかない、今日行動に移さなければきっとまたこのまま変わらない関係を何年も引きずることになるだろう。
私は意を決して玄関のドアに手をかけた。
リビングに入るとグンジはいつものソファーの上でテレビを見ていた。
私に気付いたのか金色の髪が揺れ振り向くと硝子のような綺麗な緑色の瞳が私の姿をとらえた。
「随分と大量の荷物だな?」
言われた私は苦笑いをもらし机の上に袋ごと買い過ぎた酒を音をたて置いた。
「考え事をしながら購入をしていたら少々買いすぎてしまいました、全部お酒なんですけどね一緒に飲みませんか?」
私の言葉に一瞬グンジは怪訝な表情を作る。
「全部酒なのか?」
言われた言葉に私は自分の失敗に気付く。
「すいませんっ!つまみの事をすっかり忘れていました、今すぐ買ってきます!」
慌てて部屋を出ようとする私は袖を引かれる感覚に足を止めた。
「何か悩みがあるのか?お前にしては珍しいだろ?あまり普段酒は飲まないし買いすぎるミスもつまみを忘れる事もお前らしくない」
私は、軽いパニックに陥る、後ろめたい気持ちからまっすぐにグンジの目を見る事が出来なかった。
「別にっ!悩みはありませんただたまにはいいかなと思いまして!」
明らかに動揺する私に怪訝な表情を浮かべながらもグンジは立ち上がり軍服のコートをはおる。
「つまみは俺が買ってくる、ビジュは簡単なつまみを作ってくれ」
グンジは私が作るつまみが好きらしく酒の席では必ず私は彼のために数品のつまみを用意していた。
「はぃ、ありがとうございます気おつけてくださいね?」
部屋を出るグンジの背中を見送ると私は冷蔵庫の確認へキッチンへと向かった。


ある程度準備が整ったところでグンジが外から帰ってきたため私は先に飲んでいて下さいと伝える。
缶の開く独特な音が耳に届き私は妙な緊張を覚えた。
ようやく完成したつまみを皿に盛り付けた私は所狭しと机の上に並べられつまみと酒の隙間に置くとグンジの向いのソファーに腰掛ける。
グンジと交わす会話もあまり頭に入らず私はせっかく買ってきた酒もあまり飲めないまま時間がたっていた。
「あまり飲んでないな?」
不意にかけられた言葉に私は顔を上げた、私を見るグンジは心配そうに私の様子をうかがっていた。
「無理に聞き出すつもりはないが、悩みがあるいつでも相談しろよ?」
私は苦笑いをもらす、せっかくの酒の席で私は大事な人に心配をかけるばかりだった。
「すいません、心配をかけてしまってせっかくのお酒がまずくなってしまいますね」
私の言葉にグンジは酒を机に戻す。
「別にかまわないがあまり思い悩むなよ?飲めば少しの間は忘れる事もできるかもな?」
促されるような言葉に私は飲みかけの缶に手を伸ばし一気に飲み干す。
「そうですね」
せっかくグンジといれる時間、心配はかけたくない変に悩むのは止めよう私はそう考えいつもの調子で笑って返した。
「あまり慣れてないだろ?無理はするなよ」
一気に飲み干した私を心配してかかけられた言葉に私は嬉しくなり自然と笑みをこぼした。
今はこの幸せな時間を共有できるだけで満足なのかもしれない。

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あとがき。
思ったより長くなったので前編はここで・・・。
ブラ君はデスペにべた惚れだといいなーと。
それでもって、デスペを大事にしてて嫌がるであろう女役を押し付けず好きだから我慢できると自分が女役に納まろうとしてると可愛い(´・ω・`)w
でも、本音を言えば男ですからやっぱり(笑
そしてこのまま終わりでも良さそうな雰囲気ですよねー(ブラがかわいそう!
ブラ君へたれです本当(´・ω・`)
でも彼はそれでも幸せです(ぇ
後編は裏にいけるといいなー・・・。
後編ではデスペが行動に移さなかった理由を書きたい(*ノ∀ノ)
デスペだって男だもん!そりゃ恋人と一緒にいて我慢していたんだと(ry
それでは、後編がんばってきます!