ブラスター+デスペラード

正直、ブラスター+デスペラードです。
初めての掲載なのでBLになりすぎないようにしてみました!
結果・・女の人が出てくる事になりましたどう脱線したのやら・・・。
でもちょっとBLチックになる所もあります・・;
傷だらけの1次とそれを助けるブラスターが描きたかっただけです・x・;
そしてものすごく中途半端な終わり方してます;;
そして、続きません(ぁw
初妄想掲載お付き合いください♪↓
私はベッドの上で眉間にしわを寄せ眠る男を見てひとつ溜息をもらす。
男の体には多くの傷があった、まっすぐのばされた金色の髪は血でひどく汚れていた。
私はこの男を数時間前に拾った。

                                                                                                                        • -

私はいつものように依頼を終え疲れた体で家へと足を向けていた。
普段から人通りの少ない薄暗い路地、夜ともなれば人に出くわすことはめったになかった。
今日も誰にも出くわさず家に帰るはずだった。
が、私は気だるそうに壁に寄り掛かる軍人に気付いた。
それだけなら私は、横を通り過ぎ家へ帰っていたのだろうが、軍人からは酷い血の匂いがした。
軍人の呼吸からも良い状態でないのは確かだった。
そこまで気づいていてほおっておく訳にもいかず私は軍人に声をかけた。
軍人の青いサングラスの下で細められた目が殺気を宿し私を睨んだ。
一歩近づくと殺気を強め目の前の男は体を動かし応戦の体制を取ろうとするが体の自由がきかないようで、不器用に銃口だけを私へと向けた。
狙いを定めない銃に意味は無い、まるで手負いの猫を目の前にしているような気分だった。
ビリビリとした殺気を向けながらも軍人は睨むだけで口を開こうとはしなかった。
私は両手を頭の上へ上げ攻撃の意思が無いことを示して見せたが軍人はそれでも銃を引くことをしなかった。
「酷い怪我ですよ、手当をしなければ命にかかわります。」
私の言葉が届かないのか、聞く気が無いのか、目の前の軍人は相変わらずの体制で私を睨んでいた。
体を支えきれなかったのか軍人はふいに膝を地面につけ倒れた。
私は慌てて走り寄ろうとしたが再び向けられた銃口を確認し足を止めた。
沈黙が訪れピリピリとした空気が辺りを支配する。
満足に体を動かす事が出来ないとしても、私に向けられる殺気は強く威圧感から動けずにいた。
「っ・・・!」
額から流れた血が目に入り本当の一瞬軍人の注意は私からそがれた。
私はその隙を逃さす一気に軍人に詰め寄り銃を握る腕を固定する。
軍人は苦痛から小さな声をもらした。
と、同時に私は気付く。
銃には弾が込められていない、体を満足に動かすことも出来ない状態で唯一の頼りとなる銃にも弾が込められてない状況が軍人をあせらせ、強い警戒心を持たせていたのだと知った。
軍人の硝子のように綺麗な緑色の瞳が再び私を強く睨んだ、言葉は無い。
「警戒するのは解ります、ですが手当をしないままここにいては貴方は死んでしまいますよ」
それでも、軍人は私に向ける殺気を納めようとはしてくれない。
私は小さくため息をついた。
「しかたありませんね・・・・」
堅く握った拳を軍人の腹部に強くたたき込む。
軍人はぐったりと倒れかかり意識を失った。
恐らくこのままずっと睨みあっていても軍人は警戒心を解くことはしてくれなかっただろう。
私は、一度心の中で軍人に謝罪をし、意識を失いぐったりとする彼を荷物でも背負うような体制で抱えた。
背負った軍人からは懐かしい匂いがした。
血と火薬の匂いに混ざる懐かしい天界の地の匂い。
軍人の着る服にも見覚えがある、昔私自身も所属していた部隊のそれによく似ていた。
私が着ていたのは黒い軍服だったが、彼がきるオレンジ色の軍服は敵から目立つ事を好み独自の戦闘スタイルで先陣を切り戦っていたレンジャーの部隊が着ていたと記憶している。
敵を力でねじ伏せ、より多くの敵を倒し名を売る事を目的としていた部隊。
天界の匂いを持つこの男は、戦争のさなか傷をおい私と同じように海から落ちこの大陸にやってきたのだろうか?
そんな事を考えている内に家の玄関の前に帰りついていた。
私は一度考えるのを止め、玄関をくぐる。
軍人の傷口から溢れる血液で扉を掴んだ手から嫌な感触が伝わってきた。
考えていた以上に軍人の傷は酷いのかもしれない。
家に入り、私はまっすぐに寝室に向かい軍人に出来る限り振動を与えないようゆっくりとベッドに横たえる。
「っ・・」
痛みからか軍人は眉間にしわを寄せ低い呻きをもらした。
意識が戻り始めているようだった私は急いで隣の部屋に移り、救急箱を手にし彼を残した寝室へ帰る。
彼は私が隣の部屋に移る時のままの体制で横たわっていた、とりあえずは傷の状態を確認しようとそばによると未だ意識を失っているとばかり思っていた軍人の蹴りに私の行動は止められた。
もちろん怪我で動きが鈍くなった蹴りを私は難なくかわして軍人を見る。
急な動きが傷にひびいたのか軍人は顔を苦痛にゆがめ再びベッドに倒れ込んだ。
「あまりむちゃはしないで下さい、私は敵ではありません手当をさせて頂きたいだけです」
私は言いながら、苦しげにする軍人に近づくと再び繰り出された蹴りをかわし難なく彼を押さえつけ腰に巻かれたベルトを素早く奪い両手を固定し、足に膝を乗せ軍人の動きを完全に奪った。
「こんな手荒な事はしたくないんです、大人しくしていただけませんか?」
軍人は自由を奪われてもなお強い殺気を私に向けた。
このタイプの人はおそらく主導権を握られることに強い不満を抱くのだろうと私は苦笑いを作る。
「出来れば、拘束せずに普通に手当てをさせて頂きたいのですが」
軍人は相変わらずギラギラとした殺気に満ちた目で私を睨んでいたが今度は静かに私を観察しているようだった。
たぶんこの軍人はついさっきこの大陸に来たのだろう、男に強く残る天界の地の匂い、酷い傷から考えるとその可能性が一番高い。
おとぎ話に聞いていたような下の世界、見しらぬ土地に投げ出され酷い傷をおい頼れる物も無い状態で天界で敵にしていた背格好のあまり変わらない私を目の前にして彼が警戒しない方がおかしいのだ。
「武器になる物は一切身に着けていません、救急箱の中身も確認しますか?」
私は言いながらゆっくりと救急箱に手を伸ばし彼に見えるように傾けて見せた。
ようやく軍人は私を信頼したのか無言のまま彼は抵抗を止め力なくベッドの上に横たわっていた。
私が体をのけ腕のベルトをほどこうとすると彼は口をゆっくりと開いた。
「あんたが敵でないとしたら何なんだ?俺は戦場にいたんだ・・・」
私は無言のまま救急箱の中から包帯とこの大陸でよくみかける傷に効く草をつぶした薬の様なものを取り出す。
軍人は構わずに続けた。
「俺は戦場で追い詰められ・・・暗く深い海に沈んでいく中意識を手放す前に不思議な光景を見た・・・」
先ほどとは違った不安げな表情が私を見ていた。
「きっと貴方は混乱しているだけですよ、今は傷の回復を優先に考えるべきです他の事は傷がある程度回復してからにした方がいい」
言いながら私は彼の軍服の前に手をかける。
「・・・明日には部隊に戻る事は出来るのか?傷が治れば・・・」
男の問いに私は無言のまま作業を進めた。
軍服の胸元あたりによれよれになっている一枚の写真を確認する。
やわらかな笑みを浮かべる女性の写真。
私はそっと、立ち上がりコップに一杯の水と薬を手にし彼に差し出す。
「少し落ち着いてください、出血も酷く貴方は軽いショック状態から冷静な判断が出来ていないだけですよ?止血様の薬です飲んで下さい」
軍人はコップを受け取ろうとして躊躇する。
私はそんな軍人の行動に苦笑いをもらし、先に薬を飲んで見せた。
「毒ではありませんから」
それでも恐る恐るといった感じで軍人は私からコップと薬を受け取ると私の顔色をうかがいながら薬を飲みほした。
「傷の手当てをするので服を脱げますか?」
軍人は未だ錯乱をした様子でそれでも一度うなずくと服に手をかける。
「手当は自分でする、戦場にいるんだそれくらいは出来る」
血を含んだコートが乾いた音をたて床に落ちた。
「そうですか、ではここに救急箱を置かせていただきますね?」
ベッドのすみに救急箱を指し示すと軍人はそれを確認すると「あぁ」と小さく返してシャツに手をかけ不意に動きを止めた。
「迷惑をかけてすまない、感謝する」
「いいえ、私が勝手にやったことですからきにしないでください」
シャツを脱いだ男の傷は酷い物だった。
よく蹴りを入れる元気があった物だと感心さえするほどに。
とくに腕の傷は酷く銃をまともに構える事さえ出来なかったのも納得がいく。
「酷い傷・・・よくその傷で銃を握れましたね、下手をすればもう握れなくなっていたんじゃないですか?」
軍人は平然とした表情で口を開いた。
「まぁ銃相手に腕を奪うのが一番手っ取り早く確実だからな」
言い終えるのとほぼ同時位に軍人は眉間にしわを寄せ考え込むような表情を作る。
軍人は無言のまましばらくうつむいていたかと思うと、額に手を当て私を睨んだ。
「何を・・のませた・・?」
低い、怒りに満ちた声だった。
「変な薬ではありません、鎮静剤の様な物です貴方が錯乱しているようだったのであまり興奮しては傷に悪いと思い・・・」
今も多少は混乱してはいたけど意外に落ち着きを取り戻していた軍人には必要無い物だったと私は罰が悪そうに答えた。
軍人は私が飲んだと見せかけたコップと私の手の中に残っていた薬を見て目を細め無言のまま床に転がったコートを眺めていた。
「傷が治ってももう二度とあそこには帰れないんだろ・・・?」
消え入りそうなかすかな声で軍人がつぶやいた。
私は聞こえなかったふりをしつつ救急箱に手を伸ばす。
「止血をしておきますね、余計な事をしてしまってすいません」
軍人は写真が収められた辺りを眺めながら苦しげな表情を浮かべていた。
「気を遣わせてすまない・・・」
私を一度視界に収めつぶやくと男は静かに寝息を立てた。

                                                                                                                        • -

そして今に至る。
私はため息をもらす。
彼はもうここが天界でない事も、大事な女性の元へ帰る事も叶わないと気付いているのだろう、せめて傷がいえるまでは微かな希望でもあればいいと思っていた。
せめて心だけでも救ってやりたかったのかもしれない。
そして、きっと彼が思っている以上にこれからの生活は辛い物になるのだろう。
私は目が覚めた軍人にどうやってこの大陸の事を説明していこうか考えながら血で変色してしまった軍服へ腕を伸ばす。
写真は血を含み女性は顔を隠していた。